pta会長の権限や権力はかなり強いものなの?学校との関係性は?

pta会長の権限

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会長

学園ドラマなどを見ていると、眼鏡をかけたいかにも真面目そうなおじさん、おばさんがPTA会長として登場します。たいていは「自由に学園生活を送りたい生徒の邪魔をする存在」という役回りで、いわば悪役としての位置づけになっているわけです。

 

でも実際のところはどうなのか、少し気になるところです。ドラマなどでは、ハンカチで額の汗をぬぐう学校の校長先生に対して、PTA会長がズケズケとモノを言うというシーンもあったりしますが、本当にそんなことが起こっているのでしょうか?

 

学園ドラマは基本的にフィクションですから、面白おかしく描いているだけで実態はやはり違うのではないか、とも思えます。ただ子供を通わせている保護者の代表で、見方を換えれば「お客様代表」とも言えるでしょう。預けている子供にとって不都合なことがあれば、やはりPTA代表として言うべきことは言わないといけない部分もあるようにも想像できますが……。

 

そこで以下では、そんなPTA会長の実態を探るべく、PTA会長の権限や権力はどんなものなのか、学校との関係性はどうなのか、取り上げてみたいと思います。

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PTA会長の仕事とは?

まずPTA会長はどんな役職でどんな業務をする立場なのか、確認しておきましょう。

 

・PTA会長の選ばれ方

PTA会長はその名の通りPTA組織のトップに立つ存在です。ただトップといってもあくまで学校単位のPTA、いわゆる単位PTAのトップというものです。各学校のPTAは通常、市区町村単位のPTA連合会(市P連)に所属していて、各市P連は都道府県単位のPTA連合会(県P連)に属しています。そして県P連は、PTAの全国組織の「日本PTA全国協議会(日P)」を構成します。いわば学校単位のPTAは、日Pの末端の組織であるとも見て取れるわけです。

 

さて、その各学校のPTA会長ですが、まず選ばれ方が色々とあります。

 

典型的なのが、立候補者がいるパターン、前期PTA会長を務めた人が、なってくれそうな人に直接お願いしに行くというパターン、くじ引きとジャンケンで選ぶパターン、の3つです。立候補者がいると楽なのですが、実際には何年かに1回そうした人が出るというくらいで、多くの場合は誰もやりたがりません。無償で(学校によっては、些少ながら謝礼が出ることもあります)年中忙しくさせられるわけですから、特別な理由(例えば将来政治家になるため、PTA会長を経歴にしたいなど)が無い限りは、誰しも敬遠します。

 

立候補者がいない場合、前期のPTA会長が次期なってくれそうな人に目星をつけてお願いに行きます。また良く取られているのがくじ引きやジャンケンです。運任せなので公平な方法ではあるのですが、「くじ引き・ジャンケンに参加する、しない」で揉めることもあります。「育児や介護に忙しい」「仕事が忙しい」といった理由で参加したがらない人が出てくると、「そんなの誰だって大なり小なりそうだよ」と参加するよう促す保護者も出てきたりして、介護の場が荒れたり、人間関係のトラブルに発展することも多いです。

 

・PTA会長の仕事内容は?

とにかく会議が多いです。同じ役員でも広報委員や地区委員のように専門的に取り組むような領域はないですが、会議に出席して取りまとめ役をする必要があり、それがまず大きなネックです。PTA総会に始まり、PTA役員の定例会議、学校の先生方を交えた理事会、各種委員会への出席など、これだけでけっこう頻繁に会議が発生します。またそれ以外にも、単体PTAの上位組織の連合会の会合にも顔を出さないといけません。市P連だと2カ月に1回ほど、県P連だと年に2~3回ほどですね。

 

それに加えて学校の行事、自治体・地域社会関連の行事に来賓として出席する必要があります。しかもPTA会長ともなると、ただ座っていればよいというのではなく、挨拶をする必要があります。場合によっては数百人を前にして話をしないといけないので、人前に立つと緊張しやすい人はかなりのストレスになるでしょう。

 

またPTA主催の行事(地域でのボランティア活動、PTAスポーツ大会、ゲストを招いての講演会)にも参加し、挨拶をするように求められます。

pta会長はどんな役割でどんな仕事内容なのか保育園・子供会・小学校pta・中学校ptaで違いをまとめてみました。

PTA会長の権限、権力とは?

とにかく忙しく、しかも人前で頻繁に挨拶しないといけないのがPTA会長です。ではそんな大変な役職であるPTA会長になったら、何か良いことがあるのでしょうか独裁者のような権力を握ることになるのでしょうか?

 

・PTAという組織の位置づけ

PTAはParent-Teacher-Associationという英語の頭文字を取ったもので、日本語訳だと保護者と教職員による会、ということになります。「英語」ということから分かるように、PTAは日本発祥の組織ではなく、元々はアメリカで考え出されたものです。第二次世界大戦直後、日本を占領統治下に置いたアメリカは、学校教育の民主化を目指し、その一環として導入が進められたのがPTAでした。昭和20年代の終わりまでには全国のほぼ全ての小中学校でPTAが組織されていたと言います。

 

そんな「民主化」の波と共に導入されたPTAですから、基本的に何をするにも民主主義の手続きを取ります。つまり、PTA会長の鶴の一声で何でも決まるということは全くありません。活動計画は年度初めのPTA総会で保護者全員の多数決で承認が必要で、もしそれを逸脱すると保護者から強いクレームがきます。特に幼稚園PTAは保護者の声が強く、きちんと役割を果たさないPTA会長やPTA役員の解任を求める保護者がいたりもします。

 

「賛成多数」、「総意」によって運営されるPTAですから、PTA会長に求められるのはお山の大将といった人よりも、人当たりの良い人、コーディネーターとしての力がある人が求められます。保護者と学校間、あるいは役員間の調整者としての役割です。

 

・PTA会長には権力、権限、あるいは役得のようなものはないの?

それでも権力や権限が全くないということはありません。一つは役員会、各種委員会あるいは総会の招集兼があります。PTA会長が取り組みたい課題、やってみたい取り組みがあるなら、各会を招集して意見を求め、賛成多数を確保すればそれを実行に移すことができます。例えばPTA組織を改革したい、これまでの古い慣習を一掃したいというなら、そのことを目的にして役員、学校側と協議することはできます。

 

あと役得と言いますか、幼稚園などでは、PTA会長は特等席で運動会やお遊戯会を見ることができ、ビデオカメラや写真も特別な場所から撮影することができます。実際に保護者として運動会やお遊戯会に行った方なら分かると思いますが、けっこう撮影の場所取りが大変になりますよね。幼稚園によってはPTA会長、役員専用の撮影スペースを確保してくれたりもします。

 

でも特権的なこと、というとそんなものくらいで、「民主的」であることが大前提のPTAでは、PTA会長の権限もたかが知れていると言えるでしょう。

 

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PTA会長と学校の関係性は?

PTAは「保護者と教職員の会」ですから、PTA会長ともなると頻繁に学校の先生方と会議をしたり、打ち合わせをしたりすることが増えます。両者の間にはどのような関係性が出来ているのでしょうか?学校よりもPTA会長は「偉い」のでしょうか。

 

・PTAと学校が対立する場合とは

学校側は文科省、教育委員会の意向に沿って教育目標を設定し、学校の運営を行っています。学校は「行政の一部」としての性格を強くもつので、この点に関してはPTA会長と言えども口出しをすることはできません。むしろ学校側の意向に沿った活動をすることが求められます。PTA会長を経験した方の意見として、ネット上でも「何をするにも学校側にチェックされた」、「学校側の意向に沿わない意見は全て却下」、「新しいことをしようとすると、校長をはじめ先生方に反対される」といった声は多いですね。

 

ただ、もし生徒の扱いに不当なこと、子供の教育上良くないような状況が学校生活の中で生まれたら、PTA会長は保護者代表として学校側に抗議をします。「保護者の側から子供を守る」という点に関しては、PTA会長は学校側にクレームを言うという関係性が生じます。仮に学校側で何らかの不祥事が生じた場合、PTA会長が中心になって緊急で学校関係者、保護者を体育館等に招集し、保護者側が学校側に対して直接意見をぶつける場を設置する必要も出てきます。

 

PTA会長と学校との間には、一定の緊張関係があるのは間違いないと言えます。

 

・PTA会長が目指すべ学校との関係性のあり方とは?

対立関係、緊張関係が一定程度あるのは仕方のないことですが、PTA会長が果たすべき役割の真骨頂は、学校側との対立にあるのではなく、協調関係、補完関係にあります。PTA自体、「学校・家庭・地域の連携」に組織としての目標があり、PTA会長としても、そこを第一に考えるべきでしょう。

 

日本PTA全国協議会は、『PTA90事例』という本を出し、PTA活動の成功事例を同書の中で紹介しています。「成功」とされているPTA活動の事例のほとんどが、学校・家庭・地域が上手く連携し、独自の活動に取り組んでいる例です。ただ学校側に要求を突きつけるのではなく、学校教育のあり方を理解して教育環境の整備に積極的に協力する姿勢を持つことが、PTA会長には求められると言えます。

 

PTA会長が「偉い」としたら、それは上下関係・権力関係の偉さではないでしょう。学校と地域・自治体との関係を上手くコーディネートし、子供達が様々な活動に取り組める環境を整備することに尽力すれば「あのPTA会長は偉い人だ」と学校側や地域の人から尊敬の念を持って見つめられるようになるでしょう。

 

【結論】PTA会長だからといって王様ではありません

 

PTA会長はドラマで出てくるような、「このことはPTAで検討させて頂きます!」と言われると校長が「それだけは……」というような、強権の持ち主ではありません。民主的に物事を決め、学校、地域社会との調整役を果たすのがその一義的な役割です。

 

ただPTA会長になった場合、自分が任期中に取り組みたいこと、やってみたいことを役員や保護者に訴え、それを認めてもらえれば実行に移せるということはできます。執行部役員の長ですからね。ただ独りよがりで何でもできるのではなく、PTAは多数決、総意によって運営されるのが基本です。

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