pta広報誌のテーマで読まれやすいテーマやコンテンツ
PTA広報誌を作る役を任されると、多くの人がため息をつくかもしれませんね。
企画会議、取材や原稿依頼、編集、レイアウトの考察など、とにかく作業が多く、場合によっては仕事や主婦業そっちのけで取り組まないといけない、という状況も出てくるでしょう。
しかもただ作ればよいというものでもありません。
多くの自治体ではPTA広報誌のコンクールを実施し、毎年市役所や市の会館で表彰式を行っています。これは言うなれば「保護者のみなさん、少しでも良いPTA広報誌を作るように!」と、自治体のPTA協議会のお偉方から尻を叩かれているようなものです。
それでもせっかくPTA広報誌を作る役になったのなら、せめて少しでも多くの人に手に取ってもらえる、読んでもらえるものを作りたいとは思うもの。同じ市内の他の学校のPTA広報誌と比べて明らかに見劣りがしてしまうと、作り手としてはやはりガックリきてしまいます。
ただPTA広報誌作りの初心者の場合、どんなテーマで作ればよいのか、どんなコンテンツを盛り込めばよいのか迷うところです。その辺がきっちりと決まらないと、取材の依頼や原稿の依頼、写真の選定なども始まりませんからね。
そこで以下では、少しでも多くの人に読んでもらえるテーマの選び方、コンテンツのあり方、そしてどんな人をターゲットに想定するとよいのかを紹介します。
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PTA広報誌のテーマの設定の仕方
PTA広報誌は定期的に継続して発行していくものですが、毎号事にテーマを決める必要があります。いわば目玉となる記事で、その号の中心となる部分になります。
でもどんなテーマを設定し、どんな情報をコンテンツとして盛り込めばよいのか・・・それを考えるためのポイントについて考えていきましょう。
①そもそもPTA広報誌はどのくらい読まれているのか?
PTA広報誌は、基本的には小・中学生の子供を持つ保護者、すなわちPTA会員に向けて発行されます。どんなテーマで、何を記事に盛り込むべきかを考えるには、実際にPTA広報誌を読んでいる読者がどんな情報を得るために読んでいるのか、そのことを知っておく必要があるでしょう。
ベネッセが2012年に、小学生・中学生の子供がいる保護者を対象に、PTA広報誌に関するアンケート調査を発表しています。
それによると、「PTA広報誌をどのくらいご覧になりますか?」という質問に対して、約6割の方が「全体を読む」と答え、「バラバラ読む」が33%、「ほとんど読まない」が4.4%、「読まない」が1.1%という結果でした。
もっとも、このアンケート調査はベネッセのホームページの会員になっている人を対象に行ったもので、質問に回答した人はそれだけ教育に対する意識が高いでしょうし、PTA活動にも関心を持っている人が割合として多いということはあるでしょう。
それでも過半数の人が全体をしっかり読んでいると答えているわけで、やはりテーマ設定、記事内容のクオリティというのはかなり大事であると言えるわけです。最近は見た目重視、デザインやレイアウトがやたらと重視される傾向がありますが、きちんとしたテーマ設定、コンテンツを企画し、作っていく必要があると言えます。
②保護者・PTA会員はPTA広報誌に何を期待している?
さてそのベネッセのアンケート結果では、「PTA広報誌を読む理由」についても触れられています。その理由は・・・
一つは、学校からの連絡、校内の様子が分かるから、というものです。PTA広報誌には学校からの連絡事項がその都度掲載されているので、その情報を知りたいから、という理由がまずあるようです。また学校で行われた行事、部活動の紹介記事など、学校にまつわる情報をたくさん知りたいと思っている方は多いようです。
特に子供が中学生になると、小学生の頃よりも保護者同士の交流が薄くなり、お互いに情報交換をする機会が少なくなる、ということがあり、それを補うべく情報源としてPTA広報誌を活用する傾向もあるみたいですね。
また子供や先生の写真を見たい、という意見もあります。先生については、自分の子供の学年以外の学年の先生方のことは良く分からないものです。PTA広報誌で先生方の顔写真と担当学年・教科などが紹介されていれば、「こんな先生もいたんだ」と情報を手にすることができるわけです。それも保護者はPTA広報誌に期待しているようです。
③読まれやすいテーマとは?
さて以上のベネッセの調査結果を踏まえると、学校の行事、先生方の紹介というのがやはり人気のあるテーマ、コンテンツということになります。
実際、「あなたの学校のPTA広報誌にはどんなことが掲載されていますか」という質問に対する答えとしては、「行事について」が90.5%、「先生がたの紹介」が71.9%、「各学年の様子・トピック」が53.4%、「部・クラブ活動、コンクール等の結果報告」が47.5%、「学校の紹介」が42.2%となっています。学校行事に関する話題が9割、先生方の紹介が7割を占めています。
最近はネット上でも、PTA広報誌を検索し閲覧することができます。それを見てもやはり「運動会」や「児童が取り組んだ米作りの様子」、「新任の先生の紹介」などをテーマにしている例は多いです。やはり保護者・PTA会員が欲している情報を汲み取り、その需要に応えられるような情報を発信しているわけです。
しかし一方で、「PTA広報誌は、単なる学校新聞ではない」とよく言われます。そのため、PTA広報誌には、PTA活動の報告、児童と地域社会の活動の報告などをしっかり盛り込まれるべきだ、というわけです。もちろん、PTA広報誌の意義を考えると、生徒と地域社会の交流、あるいは時事問題のテーマ(いじめ問題、食育の問題、学習・受験にまつわる問題)も適宜取り上げていくべきなのは間違いないでしょう。
ただそんな中でも、PTA広報誌が提供する情報のベースとして、学校行事の情報、先生方の紹介、普段の学校生活の様子などをしっかり盛り込んでいかないと、読者の要望に応えられないというのも事実。「読まれやすいPTA広報誌」を目指すなら、そこは押さえておくべきです。
PTA広報誌のコンテンツをより読まれるようにするには?
PTA広報誌の構成、内容を考える際に気を付けるべきポイント挙げておきます。いくら取り上げるテーマが良くても、コンテンツの作り方が良くなかったら、読者を引き付けるのは難しくなります。
以下では、読者に読まれやすいコンテンツの作り方について、ポイントを挙げておきます。
①挨拶文、依頼原稿で誌面が文字でびっしりと埋まるのは良くない
PTA広報誌の誌面のレイアウト等はそれほど悪くないのに、どうしても地味な印象を与えてしまうページが、いわゆる「あいさつ・依頼原稿」のページです。PTA広報誌という性格上、校長の挨拶、PTA会長の挨拶というものはある程度盛り込まないといけませんし、学校の行事・活動に協力してくれた地域の方の記事なども載せる必要も出てくるでしょう。
ただあまりに挨拶文や依頼原稿が多すぎると、文字がびっしりと並ぶレイアウトになってしまい、どうしてもダイナミズムに欠ける誌面になってしまいます。できるだけそうした箇所は最低限に収まるようにし、例えば編集部が本人にインタビューに行って、質疑応答形式で記事にするなど工夫をすると、見栄えもよく読者も読みたいと思うでしょう。
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②アンケート調査の取り扱い方に注意
PTA広報誌でよく行われている手法の一つがアンケート調査です。生徒や先生、あるいは地域の方々を対象にアンケートを取り、それを取りまとめてPTA広報誌に掲載するというのは、昔から行われているいわば一般的な方法とも言えます。
特に最近はエクセル、ワード等を使えば簡単に集計、グラフ化が出来るようになり、一昔前に比べると作業がぐんと楽になった部分もあるでしょう。集計結果の数値を操作して、平均値や分布図を提示するのも、あっという間に出来てしまいます。
しかし簡単に数値計算、グラフ化が出来る時代だからこそ、そこに一工夫が必要であるとも言えます。
グラフや表を載せただけだと「なんだエクセルで簡単な表を作っただけか」とも読者に思わるでしょう。出来ればさらに踏み込んで、例えばアンケート結果に対して専門家の意見を聞いてその話を記事にするなど、深みのある情報を提供することが望ましいです。
専門家と言ってもそんな著名人である必要はなく、健康や食育の話なら保険の先生に聞けばよいでしょうし、進路に関連する話題なら進路担当の先生方を集めて、アンケート結果についての座談会を開くというのもよいでしょう。ただ数値やグラフを載せるのではない、もう一歩踏み込んだ工夫があれば、読者も読みたくなると思います。
③素朴な疑問を持つ人を想定した内容にする
読者層がPTA会員であるということを想定すると,PTA広報誌のあるべきコンセプトというものが見えてきます。つまり、読み手は教育の専門家でもスポーツに精通している人でもない「子供の保護者」の方々であり、そうした読者を想定した記事の書き方をする必要があるということです。
例えばPTA新聞で食育をテーマに扱う場合、食育の意義、目的など、「食育っていったい何?」ということを、一からきちんと説明しないといけません。また「~部が全国大会で奮闘!」という特集を組んだ場合、とにかく試合の様子の写真をたくさん掲載し、その試合経過を紹介することに終始する、というものになりがちです。しかしそれが野球などある程度有名なスポーツならともかく、グラウンドホッケーやソフトボールなどややマイナーなスポーツの場合、ルールや仕組みをきちんと説明しておかないと「そもそもどんなスポーツなの?」という疑問と共に、読者を置き去りにしてしまうかもしれません。
「そもそもどういうことなの?」という素朴な疑問を抱く読者を目線で分かりやすいコンテンツ作りをしていくことが、読まれやすいコンテンツ作成の大きなポイントです。
PTA広報誌がターゲットにすべき読者について
PTA広報誌が想定すべき読者は、当然ながらPTA会員、すなわち保護者です。それが第一であるのは間違いないですが、実際の読者層はもう少し幅広いです。最後にそのことを少し触れておきましょう。
①生徒・子供
これはちょっと意外に思われる人もいるかもしれません。PTA広報誌はPTA会員である保護者向けの読みもので、子供向けに作るものではないだろうと・・・
しかし自分の学校の行事のことが掛かれているわけですから、子供も関心を持たないわけがありません。写真が沢山掲載されていれば自分が写っていないか気になりますし、「〇〇ちゃんが載っている!」と興奮気味に手に取ったりもするのです。子供が関心を持って読み出せば、普段PTA広報誌など読まない保護者も読み出すかもしれません。
また親子そろって内容が分かるPTA広報誌なら、その内容をもとに、食事時などに学校や地域活動のことを家族で話し合うきっかけになります。家族全体で学校のこと、PTAのことにより興味を持ってもらうためにも、子供が読むことを想定したレイアウト、テーマ、コンテンツを考えていくことが望まれますね。
②地域の自治会、役所の公務員、地元の政治家など
PTA広報誌は保護者以外の方にも配布される、ということも意識すべきでしょう。そういうこともあり、学校側やPTAの執行部の方たちは、学校そのものをもっとPRする内容、PTAが頑張っている活動、地域社会との連携している活動をたくさん取り上げるように要請してきます。保護者としては、先のベネッセのアンケート結果で触れたように学校生活こと、先生のことをPTA広報誌で知りたいわけですが、それだけをターゲットに想定してテーマ、コンテンツを考えていては、あまりに内輪ネタ過ぎるということにもなります。
メインターゲットである保護者層が欲している学校の行事や先生に関する情報を提供する一方で、PTA活動や地域活動、学校自体の特徴・魅力の紹介などもバランスよく盛り込むのが望ましいですね。地域社会を支える人の関心を引くことも、PTA広報誌には求められるわけです。
③父親
PTA活動に積極的に参加する保護者、あるいは授業参観やPTA総会に出席する保護者は、多くの場合母親の側です。昔に比べれば父親の育児への参加が進み、最近は「イクメン」といった言葉が流行るようにもなりました。それでも子供が小・中学生になる時には、父親は40代、50代で、サラリーマンであれば管理職になる頃でしょう。仕事で大きな責任を背負わされ、ストレスを抱えることがどうしても増えるものです。そうなるとなかなかPTA活動に関心を持つ余裕がなくなりますし、子供のことも妻の側に任せっぱなしになりがちです。
PTA広報誌のテーマやコンテンツに、「父親とPTA活動の関係」など、父の側に焦点を当てるようなテーマアップをしていけば、父親たちにPTA活動に関心を持ってもらい、参加してもらう契機にもなるでしょう。PTAの活性化につながるという意味でも、父親をターゲットにしたテーマ、コンテンツ作りも一つポイントになります。
pta広報誌のテーマで読まれやすいテーマやコンテンツまとめ
読まれやすさを意識するというのは、PTA広報誌に限らず難しいものです。
しかしPTA広報部として懸命に作った広報誌を、よく読まれもせずにお茶の間や台所の片隅に片づけられていくというのは、やはり悲しいでしょう。
せっかくPTA広報誌を作るのですから、これまで示したポイントを押さえ、少しでも読まれ、関心を持たれるテーマ、コンテンツを考えてみてはいかがでしょうか?