////////////////////////////////// //////////////////////////////////
目次
幼稚園役員の種類と仕事内容
幼稚園のPTA・保護者会の役員には、大きく分けて本部役員と委員会役員とがあります。それぞれ順番に見ていきましょう。
・幼稚園役員の種類と仕事内容―本部役員―
まず本部役員ですが、会長を筆頭に、副会長、書記、会計などの役職があります。
会長は言わずと知れたPTAの顔で、もし選ばれればその地域社会ではちょっとした名士になるでしょう。一種の社会的なステータスになります。ただその分、責任と仕事量は多く、PTA活動のあらゆることに関わり、且つリーダーシップを発揮する必要があります。例えばPTA役員会議の場でも、会長は会議を牽引すべくどんどん意見を発言し、その場を盛り上げる必要が出てきます。また市区町村、都道府県のPTA連合会(幼稚園ごとの単体PTAを統括する団体)の会合にも顔を出さないといけません。あと意外と大変なのが、行事のたびに行わないといけない挨拶。もし選ばれると、その年度はほぼ会長としての仕事に追われ続けることになるでしょう。
副会長は会長を支える役割で、会長がもし行事や会議に欠席した場合、その代行を務めます。複数人選ばれることも多く、会長の補佐役として皆でサポートしていくわけです。会長の相談相手にもなり、また各役員の仕事で人手が足りないときに助けに行くなど、オールマイティな役割が期待されます。
会計は、保護者であるPTAの一般会員から集めた会費の徴収、管理、報告を行う役職です。お金を扱うだけに、社会的な責任はかなり大きなものになります。もしお金を紛失したり、使い込んだりすれば、法に抵触するほどの一大事になりますからね。幼稚園によっては会計用のノートパソコンがあったり、現金出納帳が用意されていたりもします。園ごとにお金の管理のやり方・ルールがあるのでそれに従います。
書記はPTAの役員会、保護者会など各種会議の議事録を作るのが役目。ただ「執行部」という役柄、ただ書いていれば良いというものではなく、幼稚園によっては委員会の仕事の手伝いをさせられたり、行事の準備などに大いに駆り出されたりすることもあります。
・各委員会の幼稚園役員の種類と仕事内容
本部役員とは別に、保護者からは委員会役員も決められます。主な種類としては、広報委員、地区委員、保険委員、行事委員、クラス委員などで、幼稚園によっては他にも色々なタイプがあります。委員ごとに委員長や副委員長が決められ、仕事の割り振りなどが行われます。本部役員ほど忙しくないのが普通ですが、それでも選ばれた場合、打ち合わせのために幼稚園に行かないといけませんし、委員によっては平日昼間に幼稚園に出向く必要も出てきます。
具体的な仕事内容としては、広報委員は広報誌・文集の作成等、地区委員は横断歩道での旗振り等、保険委員は園内の衛生管理等、行事委員は運動会お遊戯会を始め、遠足や芋堀大会など季節行事の企画、運営等、クラス委員は保護者とPTA本部・先生方との連絡役等の役割を担います。人数として最も多いのがクラス委員で、一クラスにつき数人選ばれるのが一般的です。子供の幼稚園卒業までに、本部役員には選ばれなくとも、複数人選ばれるクラス委員には、一度は選ばれるかもしれません。
幼稚園役員の適正とは?~本部役員の場合~
・会長に適した人とは?
幼稚園役員の中でも会長はトップに位置する人ですから、何よりもリーダーシップが求められます。しかし自分のわがままを押し通すような人では当然ですが務まりません。幼稚園側と保護者側、各委員会間の調整、地域社会との折衝、PTA連合会とのつながりなど、幼稚園を取り巻く様々な利害関係者の調整人である必要があります。
また「人前で話すことが苦痛でない」ということも重要です。会議や行事を開催するに当たって、必ずと言って良いほど、会長は挨拶を求められます。大変なのは入園式、卒園式など大きな行事の際の挨拶。大勢の保護者・関係者の前で、卒なく式辞を述べる必要があります。むろんメモを見ながらでも良いですが、人前に立つことに慣れていない場合は、足や声が震えるかもしれません。また園内の行事だけでなく、地域社会の祭りなどのイベント、小学校の行事などにも来賓として呼ばれることがあり、その場合も挨拶が必要になります。
幼稚園役員の中でも特に適性が求められる職ですから、幼稚園によっては会長はクジ引きやジャンケンなどでは決めず、前会長や幼稚園の園長先生が「この人こそ」と見込んだ人にお願いに行くということも多いです。
・副会長に適した人とは?
副会長は会長の代行を務めることもあるので、やはり人前で挨拶することが苦ではないこと、が一つ条件としてあるでしょう。ただ会長のサポート役が基本的な職分ですから、その場をグイグイと引っ張る人というよりは、何でも気が回る人、丁寧に何でも取り組める人が向いていると言います。また会長に代わって各種利害関係の調停をする必要もあるので、客観的に事態を見つめ、問題を収集できる力のある人が望ましいでしょう。こうした調整力というのは、誰でも持っていそうでいて、意外と適正の無い人が多いのも事実。適正の無い人だと、露骨なえこひいきをしたり、自分の気の済むように何でもやろうとしたりして、人間関係のトラブルを引き起こします。
・書記・会計に適した人とは
とにかく「マメな人、真面目な人」に向いています。資料・帳簿の管理、保管をすることになるので、ズボラでいい加減な人だと後々問題が起こるかもしれません。また議事録の作成やお金の管理にはパソコンを使うことが最近では一般的なので、ある程度パソコン(ワードや一太郎など)を使いこなせる人が望ましいですね。
会計については、日商簿記3級以上の資格を持っている人ならば、仕事が何かとスムーズになります。ただ幼稚園ごとに帳簿・現金出納帳の付け方、お金の管理の仕方(銀行からのお金の出し入れについて)などはマニュアル化されているはずなので、経理・会計の経験の無い人でも、失敗なくこなせるとは思います。
////////////////////////////////// //////////////////////////////////
幼稚園役員の適正とは~各委員の場合~
幼稚園によって設置されている委員は異なっていますが、基本的にどの幼稚園でも広報委員、地区委員、クラス委員はあるようです。ですので、この3部門について取り上げてみることにしましょう。
・広報委員
広報委員は広報誌や文集を作る委員で、各種委員の中でも仕事量はかなり多い方だと言えます。頻繁に打ち合わせ・編集会議を行う必要がありますし、行事の時は写真撮影やインタビューを行い、保護者や先生方、地域の方々に原稿依頼をすることも仕事になります。適正としては、やはり記者らしく「考え方、行動のフットワークの軽い人」となるでしょう。また広報誌で取り組む企画を提案できる人、創造力のある人も適していると言えます。実際に会社で編集・出版の仕事の経験のある人、校正・ライティングの経験のある人なども適正があると言えるでしょう。
・地区委員
地区委員は幼稚園によっては設置されていないこともありますが、幼稚園周辺に車の交通量の多い道路がある場合、犯罪発生率がやや高い地域に幼稚園が立地している場合(都市部、駅の近くなど)などは、地区委員が設置され、園児と保護者の安全、防犯活動を行います。具体的には、横断歩道等での旗振り、園内外の安全パトロール、必要に応じて警察との折衝を行う、といった内容です。仕事内容上、平日の昼間から作業に従事する必要があり、昼間にフルタイムで仕事を持っていない人が向いていますね。また道路沿いに長時間立ち、パトロールのため長く歩き続ける必要もあるので、「体力に自信のある人」が適しているでしょう。
・クラス委員
学級ごとに複数人選ばれます。幼稚園の先生・PTA活動と、保護者との橋渡しをするのがその主な役目。幼稚園の保護者は、子供がまだ手の掛かる年代ということもあって、幼稚園のことやPTA活動のことに積極的に意見を言うことも多いです。場合によっては保護者同士で「ママ友」の派閥を形成し、ファミリーレストランや喫茶店に集まって幼稚園の先生の噂話、PTAの噂話、時として悪口などを言い合ったりします。そうしたママ友たちと直接意見を交わすクラス委員も、そのやり玉に挙げられることも少なくありません。
ネット上で見ても、クラス委員に選ばれた人の中で、人間関係のトラブルに直面している人は多いようです。保護者との関係悪化もそうですが、クラス委員は複数人選ばれるので、他の委員との人間関係でもトラブルが起きやすいです。誰が何の仕事をやるのかで揉めたり、私にばかり仕事を押し付けると反発したり、などですね。
そんなクラス委員の適正としては、やはり「コミュニケーション力」。もちろんどの役員にもその力は必要ですが、クラス委員は保護者と直接言葉を交わす機会が多いですから、より人間関係の構築力が求められます。
役員をやることでスキルアップができるかも?
これまで幼稚園役員の仕事内容とその適正について触れてきましたが、実態としては会長も含めクジ引きやジャンケンで決められることも多いです。たとえ適正のある人でも、何かと仕事の多い幼稚園役員になりたいとは思わないでしょうから……。
もしそんな運任せの方法で幼稚園役員に選ばれたら、「地位が人を育てる」ではありませんが、適性があるように振舞う努力をすることも大事かもしれませんね。
人前で挨拶するのが苦手な人でも、会長として数回実際に挨拶し、何とかこなすことができれば、次第に慣れも出てくるでしょう。また人付き合いが苦手な人でも、クラス委員として誠実に保護者の方に電話、メールで連絡を取りあっていくうちに、親しい友人関係をきっと築けるはずです。
子供が幼稚園に入ると、保護者としては気になるのが「PTA・保護者会の役員をやることになるのか、免れるのか」という点です。既に上の子が幼稚園を卒業していたり、親せきの子供の話しを聞いたりしている保護者であれば、その大変さは見聞きして知っていることでしょう。
初めて子供が幼稚園に入学し、幼稚園のPTA役員のことをよく知らない保護者の場合、「幼稚園役員やりませんか」と打診を受けて、「新参者の私で良ければ!」と喜んで受ける人もいるようです。……当然、仕事内容の実態を知り、大変さが身に染みて分かるに連れて、「受けるんじゃなかった」と後悔することも多いようですが……。
ただ、幼稚園役員の仕事と一口に言っても、様々な役職があります。クジ引きやジャンケンで決められることも多いですが、本来ならば、各役職に適正の人がやるのが妥当だとも言えるでしょう。後でまた触れますが、例えば会計の役職であれば、簿記の資格あるいは過去に経理・会計の仕事の経験を勤め先でしたことのある人が、最も望ましいと言えるわけです。
そこで以下では、幼稚園役員の仕事内容を踏まえたうえで、どんな人が役員に相応しいのか考えてみたいと思います。特に、運任せではなく他人の推薦によって役員を決めているという幼稚園の場合、この「適正」ということは頭に入れておくべきでしょうね。