pta廃止を求めたいとき、どうすればいいの?ptaを廃止する方法

pta廃止するには

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会長

子供が幼稚園に入学すると、子供にとっては長い学校生活の始まりとなりますが、同時に保護者にとっては長いPTA活動の始まりともなります。

 

もしPTA役員に選ばれれば大変です。行事やら会議やらに駆り出され、忙しい日々に追われることになります。無償の作業に受持するために、本業の仕事、パートの時間を削らないといけない、ということも十分あり得るでしょう。

 

PTAの会議は平日の夜に行われることも多く、昼間の仕事に疲れて帰って来たパパさんが、休む間もなく19時、20時といった時間に始まる会議に参加するために学校に出向く……。場合によってはPTA活動の忙しさが災いし、疲労が蓄積し、体を壊すということも起こってくるでしょう。

 

PTAの活動には極力関わりたくない……その思いを持つ保護者は全国的に非常に多いですが、結局はなし崩し的に参加することになり、役員の仕事を任されるということが平然と行われています。

 

「PTAなんて廃止すればよいのに」という心の声を持つ保護者も多いと思います。

 

しかし実際に廃止されるという事例は少なく、どうやったら廃止できるのか、といったことの方法論も、一般的に確立されているわけではありません。

 

以下では、PTA廃止を求めたいとき、どうすればよいのか、PTAを廃止する方法としてどんなことがあり得るのか、について考えていきたいと思います。

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PTAとはそもそもどんな組織?そもそも何であるの?

まずPTAとはどんな組織なのか、どんな歴史的経緯で生まれたものなのか、その成り立ちを確認しておきましょう。

 

・PTAとは?

「PTA」は英語表記のParent-Teacher Associationの頭文字をとった名称です。直訳すると「父母と先生の会」となりますね。組織としての目的は、保護者と教員が共に学び合い、地域社会の中に子供のための教育環境を作っていくことです。「地域社会」はPTAを考える上で一つキーワードになります。特に近年、PTA活動は生徒、保護者、教職員といった学校の中の閉じられた組織であるべきではなく、地域社会全体の中で子供を育てていくという傾向が強まっています。学校行事のみならず、地域でのボランティア活動、清掃活動などに、PTAが絡むことも多いですね。

PTAってそもそもいらないの?仕事内容から見るPTA役員の大事な役割

PTAという組織自体が本格的に導入されたのはアメリカGHQ主導の戦後教育に端を発します。戦前においても、生徒の保護者会のような会はどの学校にもありましたが、もっぱら学校の寄付金集めが主な目的で、子供の教育環境を整えるといった考え方はあまり持たれてなかったようです。

 

戦後、アメリカは日本の民主主義教育を徹底させるための方法の一つとして、PTAの考え方を日本に導入します。保護者が学校運営のあり方に直接意見できるようにすることで、戦前のような一方的な学校主導による教育(軍国教育)を改め、より双方向的な教育環境づくりをさせようとしたわけです。1950年頃までにはPTAは全国各地の学校に設置されるようになり、1952年に東京で「日本父母と先生の会全国団体結成大会」が開催され、これによりPTAの全国組織が作られました

 

現在の組織形態は、個々の学校ごとのPTA(単体PTA)がまずあり、それを統括する組織として自治体ごとに市区町村単位の「PTA連合会」があります。そして市区町村のPTA連合会の上位に都道府県単位のPTA連合会があり、その上に「日本PTA全国協議会」というPTAの総本山とも言える組織が作られています。

 

・単体PTAの組織形態

PTAの運営は役員によって牽引されることになります。役員の種類としては、会長、副会長、書記、会計といった基本四役のほか、保険委員、環境委員、広報委員、クラス委員など各種委員が設置されています。役員に選ばれなければ、年に1度のPTA総会など一部の会に出席するだけで済みますが、役員になってしまうと、日ごろからかなり忙しくなります。

 

役員の決め方は学校ごとに異なりますが、立候補、前年度役員がやってくれそうな人にお願いする、くじ引き・じゃんけんといった方法です。立候補者はなかなかいないものですが、PTA会長ともなると地域における名士になるので、将来的に市議会議員など政治家を目指そうとする人などにとっては、会長や副会長は立候補してでもなりたいようです。でも一般の保護者にとっては、忙しいので最もなりたくない役職と言えます。結果、くじ引き・ジャンケンといった運任せで選ぶという方法が頻繁に行われていますね。

pta役員決めの選出方法ってどんなものがあるの?

PTAの弊害とは?

 

PTA活動に保護者が関わることに関しては、いろいろな弊害が指摘されています。既に多少触れたものもありますが、改めて細かく取り上げてみます。

 

・子供が学校に入学すると、有無を言わさずに加入させられる

PTAは国の法制度によって設置が定められているのではなく、あくまで参加任意の団体です。ですので、参加しないという意思を示すことは、何ら問題のある行為ではないというのが、制度上のあり方です。

 

しかし「制度上」はPTAに加入しないという選択肢はあり得ても、「事実上」ほとんどの保護者は、ほぼ自動的にPTAに加入することになります。参加しないという意思表示をするという慣習は、現在の日本のPTAには無いと言ってよいでしょう。この「PTA加入の強制性、強要性」は、近年問題視されるようになっていますね。

 

昨年、政府が首相官邸で開いた「1億総活躍国民会議」において、民間議員でタレントの菊池桃子さんが、「PTA活動はもともと任意の活動なのに、保護者全員が参加する雰囲気作りがされている」と発言し、物議をかもしました。PTA活動が働く女性の重荷になっていることを指摘したわけですが、これまでそのようなことを堂々と発言する人はいなかったので、PTA活動に疑問を持っている人から、大きな支持を集めたようです。

 

・役員の仕事が大変

PTAの四役はもとより、各委員に選ばれた場合も、PTA活動にかなり生活が縛られることになります。会議や打ち合わせは働く人に考慮するということで、平日の夜や土曜の午後に開催されることも多いですが(幼稚園のPTAは参加者に専業主婦のママさんが多いということで、平日のランチ時に行われることもあるようですが)、体を休息させたり、自分の趣味の時間に時間を使ったりすべき時間に、さらにPTA活動と称して駆り出されるわけです。これは保護者にとっては大きな負担になります。

 

役員の大変さのあまり、毎年「役員決め」の会議の場は時として紛糾します。誰もが役員をやりたくない中で、それでも役員を決めないといけないわけです。「役員決めの会議を欠席している保護者は怪しからん!」、「そんな役員の決め方はおかしい!」など、時として怒号や罵声が飛び交うこともあります。

 

PTA役員の仕事量は幼稚園が一番大変で、その後小学、中学、高校と次第に軽くなっていくと言われています。ただ高校はともかく、小中学の間はかなり忙しさが続くようですね。

 

保護者同士の付き合い、人間関係

PTA活動に関わると、他の保護者と交流することになります。学校のことや受験のことなど、様々な情報を交換できるメリットがある反面、時として意見が対立したり、人間関係のトラブルに巻き込まれたりすることもあります

 

多いのが同じ役員の委員、部会に配属されている人同士で、作業内容を巡って仲違いをする、というものです。会議の日を無断で欠席した人が他の委員から注意され、そのことがきっかけで関係が悪化する、あるいはリーダーシップを取って頑張っている人に対して他のメンバーが「張り切り過ぎだ」と感じて陰で色々と言う、などなど……挙げるときりがありませんが、ふとしたきっかけで関係が悪化することは多いです。

 

また先に挙げた役員決めの際に、役員を受ける、受けない、を巡って人間関係のトラブルになることもあります。子育てや介護で忙しいので役員を受けられないという人に対して、「他の人も大変な中役員の仕事を引き受けているから」と批判をし、それがきっかけで対立関係が生まれる、ということも多いです。

 

平日の夜や休日に駆り出されるのが身体的な苦痛だとすると、こうした人間関係のトラブルはPTA活動の精神的な苦痛とも言えるでしょう。

 

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PTA廃止をしたい場合はどうすれば……PTAが主導する場合と学校が主導する場合

実際にPTAを廃止するにはどのようなプロセス、方法があり得るのか……「PTA側が主導する場合」、「学校側が主導する場合」に分けて以下で触れてみたいと思います。

 

・PTA側が主導する場合

PTA廃止を目指す場合、まずはきっかけとなる廃止に向けた動きが必要になりますが、PTAの側からそれを作る場合、やはりPTAの執行部から働きかける必要があります。

 

一般の保護者会員が一人でいくら声高に廃止を訴えても、学校のPTA全体を動かす力にはなりません。しかし廃止に向けた動きを保護者の中でムーブメントとして起こし、「PTAの廃止を目指す」ということを掲げてPTA会長、副会長に立候補して実際に選ばれる、というプロセスを経ると、話は大きく変わってきます。PTA会長ともなれば、PTAが担う仕事、活動を徐々に縮小させていく、それまでPTAが担ってきた重要な活動を別の組織に委託するといった、PTA廃止に向けた具体的な動きを主導することも出来るでしょう。

 

ただその場合、PTA会員である保護者の支持を得ることが大前提です。実際のところ、「PTA役員はやりたくないが、自分以外の誰かがやればよい」という利己主義的な考え方が一般的で、「PTAそのものを廃止する」という考え方は、現状主流とは言えません。やはり「PTA廃止」となると「過激すぎる」との印象を受け、「そこまでやらなくても……」という保護者の意見も根強いです。

 

そんな保守的な価値観を打ち消すほどのPTA廃止に向けたムーブメントが保護者の中で起こるかどうか、そしてそのムーブメントを率い、代表として学校側と堂々と渡り合えるリーダーが保護者の中にいるかどうか、が大きなポイントですね。

 

・学校側が主導する場合

学校の側が主導してPTAを廃止するというのは、実際に有名な事例があるので紹介しましょう。それは杉並区立和田中によるPTAの廃止です。2008年当時、区立和田中学校の校長だった藤原和博氏が「和田中学校のPTAを、同校が作る地域本部という組織の一部門にし、日本PTA全国協議会から脱退し、PTA会長のような職は置かない」と決めたのです。

 

この藤原和博氏は、東京都初の民間人校長として和田中学校の校長に就任した人で、もともとは株式会社リクルートの社員だった人です。民間出身の校長ということで、大胆な発想、改革ができる人だったのでしょう。率先してそれまでの形態のPTAを解体したわけです。

 

ただこのPTA廃止は、単純に「廃止した」というわけではありません。藤原氏は2003年に校長に就任してから、PTAに代わって学校の教育環境を整える「地域本部」という組織を学校内に立ち上げていました。地域本部は地域在住の主婦、ボランティア、大学生などが学校を支援するという活動で、「地域本部があれば、PTAはいらない」という判断で廃止に至ったようです。より合理的で保護者にとって低負担な「子どもの教育環境を支える」代替組織が、PTA廃止を決める際に既に学校内にあったわけですね

 

革新を厭わず、強力なリーダーシップを持った校長先生がいると、PTA廃止も現実味を帯びたものになると言えます。

 

廃止するには強力なリーダーが必要

 

「PTAは保護者にとって負担だから必要ない」と口で言うことと、実際に「PTA廃止に向けたムーブメントを起こす」ということの間には、大きな差があります

 

PTA廃止を目指す場合に一つポイントになるのは、やはりリーダーシップを取れる人がいるかどうか、ということが重要になりそうです。「PTAはいらない」という強い理念を持ち、周囲の人間を巻き込んでそれを学校内・保護者内での廃止「運動」にまで高めていく……。そこまでやれる人がいれば、PTA廃止の芽もかなり真実味が増してきます。もちろん、個人でなくとも良いでしょう。何人かの保護者の小グループが出発点になるということもあり得ると思います。

 

あとは社会の中の風潮、世論も重要かもしれません。「PTAいらない」という考え方は近年少しずつ世の中で注目を集め始めています(今年1月にも、PTAに入らないという保護者の意見が、ネットニュースになっていました)。そんな動きが今後さらに社会の中で強まっていけば、学校内でのPTA廃止の動きもより進みやすくなるでしょうね。

 

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